1. 界面極性場の化学とその分析化学的応用に関する研究
近年,物質の認識と分離の新規なメディアとして種々の界面が利用されている。また,ナノテクノロジーで扱われるナノ領域の溶液では界面の特性が重要となる。しかし,その界面あるいは界面の影響下にある領域(界面場)がもつ特異性の本質はあまり解明されていない。逆ミセル(左図)は,高い極性の界面場を有し,生体系での反応活性点や生体膜に似た環境をもつことで興味が持たれている。そこで,特異機能をもつ逆ミセル界面極性場の設計と制御による新規な分析法の構築を目指して,膜のイオン認識・輸送機能を模擬した選択的な分離システムの開発と共に,界面ナノ領域の極性反応場モデルの確立と特異機能の発現機構の解明を行っている。
2. エアロゾル微粒子系のレーザー捕捉・顕微分光
降雨、降雪の初期過程である気相から水滴が発生するメカニズムならびに過冷却微小水滴が凍結するメカニズムの解明を目指しています。気相の温度と湿度を制御可能なレーザー捕捉・顕微分光システムを構築し、雲の発生や降雨(降雪)に関わるエアロゾル水滴の物理・化学過程を光学顕微鏡下で人工的に再現するとともに、これを単一の微小水滴レベルで分光計測・解析する手法を開発しています。
3. 気化分離過程の導入による高性能原子スペクトル分析法に関する研究
溶液内では揮発性化学種の生成が不可能もしくは困難な元素を対象にして,ミニメタル炉上での in situ な固相反応系を用いて,揮発性の水素化物,アルキル化物あるいは金属錯体などに変換し,選択的に気化分離するための化学反応過程を開発し,これを原子スペクトル分析法と連結した分析システムの確立を目指している。